初対面の人や取引先の方々となんとなく話す「雑談」…難しくありませんか?
私も営業を10年以上していますが、本当に難しい。
たかが雑談、されど雑談。
しっかりと理解し、対応すればグッと距離が縮まり、相手との関係も深くなれます。
そんな「雑談力」のつけ方をしっかりと学んでいただき、これからの人付き合いをうまくなって頂きたいです。
雑談とは…?

雑談とは、一般的に特に深い意味や目的がない、気軽な会話のことを指します。
知人友人や家族との日常的なやり取りや、共通の話題に対するおしゃべりでは特に気を遣うこともなく、時間も忘れ盛り上がることも容易です。
では、次のような方々では同じような雑談はできますか?
「初対面の人」
「上司や取引先」
「義理の両親や親戚」
「パパ友、ママ友」
…想像するだけで地獄です。
なぜ関係が変わるだけでこんなにも雑談のハードルが上がってしまうのでしょうか?
雑談が難しい理由
結論からいうと「雑談は普通の会話とは全く違う」からです。
たいていの人は会話イコール
①友達や仲の良い人との気を遣わない楽しいおしゃべり
②仕事の面できちんと話す大人としての会話
この二つぐらいしかバリエーションを持っていません。
雑談はどちらでもない、いってみれば「第3の会話」になります。
雑談の本質は「微妙な間柄の人と、適当に話をしながら、なんとなく仲良くなる」というとても繊細なものです。
ですが、皆さん雑談を、会話の①、②のやり方で適当にやろうとするからうまくいかない。
そのことを知らないで見よう見まねだったり、適当にその場しのぎでやったりします。
当然結果は話が弾まらず、疲れる。
ちょっと盛り上がっても、全然次につながらない。
ですから雑談は難しいのです。
雑談を克服するには
雑談を克服するには「雑談力」、これを身につけることでうまくなります。
雑談に適した話し方をすればいいだけです。
ただこうしたことをお伝えすると、皆さんこう思われます。
「そもそも雑談に適した話し方なんてあるの?」
「あったら知りたいけど、めんどくさかったらヤダ」
大丈夫、むしろそこまで難しい方法はございません。
これからしっかりと「雑談力」の学び方をお伝えしていきます。
雑談の基本ルール

雑談とは先ほどからお伝えしていますが、簡単に見えるがとても難しいものです。
そのため、基本的なルールを学んでいただきながら、NG行動も勉強していきましょう。
意識できればあなたも雑談のスペシャリストに一歩ずつ近づきます。
雑談の目的
雑談の目的とは「人間関係の構築」です。
シチュエーションはそれぞれですが、全ての雑談は、会話を通じて、お互いの警戒心を解き、スムーズで円滑な関係に移行するのが目的となります。
雑談がちゃんとできれば、仲良くなれるのです。
ここで人によっては、雑談によって面白い話をしなくてはいけない、と思う方がいます。
それは勘違いで、雑談の内容ははっきりいって何でもいいのです。
他にも結論やオチといったものも不要で、むしろあってはいけません。
大切なことは会話を続けること。
意識するのは「結論」ではなく「会話のラリー」です。
会話の中身
雑談を「情報交換」の場としてとらえている人が多いのですが…それは間違いです。
最初のルールの中で雑談の内容は何でもいい、とお伝えしましたが、雑談には「仲良くなりやすい雑談」と「仲良くなりにくい雑談」があります。
情報交換はまさに仲良くなりにくい雑談の典型です。
では、仲良くなりやすい雑談とはなにか?
それは情報ではなく、「気持ち」をやり取りすることです。
ただ単に調べればわかる情報を話すだけではなく、その中に自分だけが感じた生の感情(喜怒哀楽)を共有すれば親密な関係を築けるのは、当然でしょう。
これから常に意識してください。
雑談のきっかけ
雑談のきっかけとして、その日のニュースや流行っている時事ネタを持ちだすこと、ありませんか?
話のとっかかりとして、誰もが知っていることを話したくなるのは当然です。
ですが雑談力を向上させるためには避けましょう。
では、なぜダメなのか?
それは先ほどのルールで「情報ではなく気持ちを話すべき」とお伝えしましたが、流行っている時事ネタやニュースの話をきっかけにすると、会話が上辺だけのものになり、生の感情を話しにくいのです。
ではどうすればスムーズに自分の気持ちを伝えられるのでしょうか?
正解は、「自分自身のエピソードや体験談を話す」です。
実際に天気の話を例にすると、体験したことにひもづけて話せば、グッと身近になります。
この時も派手なエピソードや笑える体験談の必要はありません。
ごくごく普通の話で大丈夫です。
「体験したこと+感じた気持ち」をセットで話すようにすれば、相手も自分のことを理解しやすくなるので、関係はみるみるうちに良好なものになります。
話の聞き方
先ほどまでのルールが「どう話すべきか」についてフォーカスしていましたが、今度は「どう聞くか」です。
雑談は「関係を構築するための相互的な作業」なので、いかにこちらが上手に自分の気持ちを伝えたとしても、それだけでは不十分。
相手の雑談もきちんと聞かなくてはなりません。
こちらの方が苦手です、という方が多いのではないでしょうか?
では、どのように話を聞けばよいか。
自分ではなく相手に「結論やオチを求めず」、ひたすら「会話のラリーを続け」「相手が気持ちを話すよう」に持っていくということ。
…難しいですよね。
ここで、絶対にやってはいけない2つのルールを教えます。
①その気はなくても相手の発言を否定・訂正する。
②良かれと思って、アドバイスをする。
普通の会話なら大丈夫かもしれませんが、雑談においては即レッドカード。
これからリカバリーするのはとても難しくなってしまいます。
では、どうすればよいのか。
相手の話をとことん肯定して、とにかく共感することです。
そうすると相手は「気持ちを言いやすく」なります。
肯定されると人は嬉しくなりますからね。
効果的なリアクション
話を聞く側が気をつけるべきルールとして重要なのが「リアクションをよくすること」です。
上手く相槌を打つ、上手な質問を考える…それよりもまずは大きなリアクション。
例えば手をたたく、表情を変える、笑うといったことをすることで、相手に「ちゃんと話を聞いていますよ」と伝えられます。
雑談は気持ちのやり取りですから、言葉で言わなくても身振りや表情で相手に伝われば、その時点で立派に成立。
また、大きなリアクションは、自己暗示にもなります。
聞き役に徹することを考えて、逆にモヤモヤした気持ちを抱えたまま雑談する人が出てしまうのも現状です。
そのような気持ちで行う雑談は雑談ではありません。
それが大きなリアクションすることで脳が「楽しい」と勘違いを起こし、結果的に会話が弾むというわけです。
話を続けば何でもOK、聞き上手になろうと思わなくても大丈夫。
むしろそういう気遣いをするから、苦手意識が湧くのだと思います。
雑談はどちらか一方が楽しむものではありません。
疲れたり、気詰まりな思いをすることがないように、ある程度「手を抜く」ことも重要です。
沈黙の対処法
雑談の中で起こりうる気まずい状況こそ「沈黙」。
会話を続けようと慌てて他の話題に切り替える方も多いでしょうが、それは間違いです。
うわべだけの話題を次々切り替えて、浅い沈黙を埋めていては、まったく気持ちのやり取りができませんからね。
そういうときには、まず会話のペースを落としましょう。
多少の沈黙は恐れずに、そして基本に戻り「自分の話、気持ちを伝える」のです。
自分たちに関係ない「遠い」話題だと、話すことも尽きてしまい、盛り上がらないし、沈黙も続きます。
ですが、自分たちに関係ある「近い」話題なら、話も尽きることはありません。
雑談の切り上げ方
今度は逆の場合、思いのほか話が続いてしまったときです。
雑談の目的は関係の構築なので、そこまでディープに付き合う必要はありません。
会議や仕事の話は、この後に行うのですから。
関係を程よい距離でキープするためにも、雑談は「いつか終わるもの」と考えておくことはとても重要です。
その上で雑談の切り上げ方の正解は、なるべく気持ちを話さず、リアクションを抑え、話をまとめ、その場を去る。
言うなれば今までと真逆のことをします。
そうして徐々に雑談を盛り下げていき、最後に「ありがとうございました」とお礼を言うのを忘れずに。
こうすれば、失礼な印象を与えずに、雑談を切り上げられます。
初対面編

皆さん基本ルールは学べましたか。
雑談力は実践あるのみです。
雑談の状況として、よくある場面ごとに解説します。
まずは「初対面編」。
様々や状況を乗り越えるテクニックをお伝えしていきます。
目から鱗の内容も多いのでご注目。
挨拶
挨拶は「さあ、これからお話をはじめましょう」という合図です。
スムーズにできるかできないかで結果は大きく違っていきます。
「はじめまして」は堅苦しく、「お世話になっております」はビジネスライクすぎです。
正解は「こんにちは」プラスして名前を名乗るのも重要。
その場の空気が明るくなるばかりでなく、2回目以降の挨拶でもこうすることで、名前忘れでの失礼を回避できます。
相手の名前を聞いたとき
自己紹介で名前を聞いたとき、実は雑談のチャンスなので、ぼーっと聞き流さず、話を広げましょう。
ここで多くあるNG行動が同じ名前の知人の話を始めてしまうパターン。
すぐに広がらず、お互いに困惑するのが関の山。
では、どうすればよいか…おすすめは「名前の由来を尋ねる」です。
苗字であれば出身地の話題に、ありきたりな苗字の場合は下の名前について深掘りしてみましょう。
名前のエピソードは聞けば聞くほど奥が深く、その人だけのオリジナルストーリーがある、パーソナルな話題です。
趣味の聞き方
趣味については初対面同士の会話の王道。
「趣味は何ですか?」このフレーズ…実は雑談には難易度の高い危険なフレーズです。
その理由は「趣味」とは基準が曖昧で余計なことを相手に考えさせてしまいます。
ただこれも、質問の仕方を少し変えるだけで、話がぐんと弾む魔法の呪文。
それは「最近ハマっていること(もの)はありますか?」です。
これだと、好きなことや気になっている分野についてすんなり語れます。
質問が具体的な上に、「どう思われるか」と他人の評価を気にしなくて済むからです。
逆に「趣味は何ですか?」と聞かれたとき…それは本当の趣味は答えない。
一見嘘をついているようですが、相手も話のきっかけで聞いているだけで、そこまで深く考えていません。
共通の話題
初対面で共通の話題が見つかると、たいていの人は「来たー!」と大喜び。
ここで気を付けなければいけないのが「自分の話をしてしまう」ことです。
その理由は、結果的に相手の話を奪ってしまっているから。
誰しも、自分の得意とする話題をかっさらわれたら、いい気分はしないものです。
共通点が見つかったら、自分もそうであることは伝えましょう。
そして話したい気持ちをグッと堪え、あくまで、会話の主導権は相手にゆだねるのです。
しっかりとあなたの話ができるターンは、相手が用意してくれます。
どちらかがずっと話して、どちらかがずっと聞く、という状況にしないことも、雑談力です。
しぐさ
しぐさでは絶対にやってはいけないことだけ案内します。
それは「腕を組む」です。
相手に「これ以上、こちらの領域に入ってこないでくれ」というメッセージにもなりますし、必然的に身体からの動きがなくなります。
顔でいえば全くの無表情で聞いているようなものなので、相手としては話しずらいです。
緊張したり、手持ち無沙汰の時に無意識に出る方も多いので気をつけましょう。
心構え
雑談では無理に「陽キャ」を演じる必要はありません。
無理に社交的な性格を目指さなくても、テクニックさえ身につければ、雑談はうまくいきます。
人見知りな「陰キャ」でも雑談力があれば大丈夫です。
性格ではなく単なるコツの問題ですから、必要なのは「慣れ」ということになります。
日常生活での訓練方法がいくつかあるので紹介しましょう。
①エレベーターで同乗者に「何階ですか?」と声をかける。
②コンビニや飲食店で「ありがとうございました」と言ってくる店員さんに対して「どうもー」とつぶやいて店を出る。
…これで良くなるの、と思いましたよね?
これで十分!
そうやって「適当に声を発する」「どうでもいい相手に、どうでもいい言葉をかける」をしていくうちに「なんとなく会話を続ける」メンタルが身についていくのです。
ビジネス編

次に「ビジネス編」に入ります。
上司や取引先との雑談は、他の雑談よりも気を遣うという人が多いでしょう。
雑談について「仲のいい人と適当におしゃべりをする」という認識をしっかりと正し、基本のルールに則って行えば大丈夫です。
会話の中身ではなく、その過程を大事に行ってください。
スタンス
結論からお伝えすると、ビジネスの雑談においては、背伸びして対等に話すのではなく、シンプルに「相手からモノを教わる」というスタンスこそが正解です。
上司や取引先のほうも、どういうスタンスで雑談したらいいかわからないでいます。
ですので、お互いに会話がぎこちなくなるのです。
その時に使えるテクニックが「先生と生徒ロープレ」。
自分が生徒となり、悩んでいることや相手が話した内容についてわからないことを、相手である先生にレクチャーしてもらうのです。
そうすれば「相手が上、こっちが下」という関係はそのままに、仕事のような、プライベートのような絶妙なバランスの会話ができます。
レクチャーしてもらうことで、相手は気分がよくなり、自分は悩みが解決されたり、知識が増えたり一石二鳥です。
エレベーターで遭遇
会社の上司とエレベーターで遭遇、皆さんはこの状況どうしていますか?
ビジネス書で「できるビジネスマンはエレベーターでの会話を最大限に活用する」というのを見ましたが、そんなことはありません。
話しかけないのは当然NGですが、ルールだコツだは抜きにして「お疲れ様です」と自分から声をかけられればファインプレーです。
その時にした会話の中で余裕があれば、何でもいいので相手に「褒める」「教わる」「お礼を言う」これができれば100点。
相手はあなたに好印象を持つこと間違いなしです。
話題の変え方
本題に入りたく、「ところで…」とさりげなく話題を変えようと思っても、すぐに戻ってしまう。
「そろそろ…」と促しても、切りあげない…。
話題を変えるときにこんな苦労された方、多いでしょう。
こんなときは「話は変わりますけど…」と、そのままずばりの目的を言ってしまうのです。
ビジネスの場においては目的があるので、しっかりと伝えても相手は不快には感じません。
盛り上がっていたのであれば、「いやー、おしゃべりが楽しくてキリがないですね」と持ち上げてから、「ずっと話していたいのですが、本題に入りましょうか」などと伝えると、スムーズに商談に移行できます。
話題へのリアクション
仕事だからと頑張りすぎるがゆえに、相手の話題に対してなんでもリアクションしている人を見たことはありませんか?
その様子は相手には落ち着きがなく見え、関係も会話も深まりません。
雑談が苦手な人がする「沈黙に耐えられない」ための行動です。
すべてのキーワードに反応し、質問を投げかける必要はありません。
何も言わずに、ふむふむと頷きながら話を聞くことも立派なリアクションの一つであることを意識しましょう。
ゆったりとした態度で臨むことで、その落ち着きが相手に伝わり、居心地の良さを印象づけることも可能です。
人と差がつく話の聞き方
雑談は会話のラリーであり、話の内容はどうでもいいと伝えてきました。
ですが、ビジネスの場においては話を聞くときの姿勢でひと工夫すると、他の人と差をつけられます。
上司や取引先の人が、ちょっとした教訓や、学びのある話を話してきたとき。
「大変興味があります」というアピールにもなる方法が「ちょっとその話メモを取ってもいいですか?」と言って、手帳やスマホを取り出すのです。
先ほどの「先生と生徒ロープレ」を例にとると、こういった姿勢の生徒に、気を悪くする先生はいません。
雑談というコミュニケーションにおいて内容は重要ではなく、「メモを取りたくなるぐらい、あなたの話は楽しいです」というアピールが重要です。
もちろん、ためになった場合は「すぐ人に話す」ことで自分のものになるのでやってみましょう。
まとめ

雑談力について、ここまでいががでしたか?
なんとなく「こうすればいいのかな?」と思ってもらえれば、とても嬉しいです。
確実に皆さまの雑談力は向上しています。
雑談力を学んだことで、皆さまが人に興味を持っていただくきっかけになって欲しいです。
皆さまの信頼関係、交友関係が深まり、豊かで楽しい毎日になることを願っています。
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