2021年からWEリーグというプロリーグも創設され、近年注目度が高まっている女子サッカー。
また2011年流行語にもなった、なでしこJAPANブームも記憶に新しいのではないでしょうか?
その一方でまだまだサッカー=男子のスポーツとしての認知も多く、女子サッカーについての各年代での環境は理解されていない方も現状。
女の子にサッカーを始めさせたい保護者の方への理解を深めてもらうのを目的に、女子サッカーの現状を中心にお伝えしていきます。
そもそも女子サッカーの環境って…?

最初は女子サッカー選手の現状を理解しましょう。
「女子」のカテゴリーに入るのではなく、本人が登録を希望するなら、男性と一緒のカデゴリーである「第1種」への登録も可能です。
大会参加するためにチーム登録した選手は、以下のカテゴリーに分類されます。
第1種 | 年齢を制限しない選手により構成されるチーム |
---|---|
第2種 | 18歳未満の選手により構成されるチーム |
第3種 | 15歳未満の選手により構成されるチーム |
第4種 | 12歳未満の選手により構成されるチーム |
女 子 | 女子の選手により構成されるチーム |
シニア | 40歳以上の選手により構成されるチーム |
※(財)日本サッカー協会、基本規定より抜粋
次にそれぞれのカテゴリーに分類された選手の内訳です。
チーム数 | 選手数 | 男子選手数 | 女子選手数 | |
---|---|---|---|---|
第1種 | 4,450 | 125,302 | 125,227 | 75 |
第2種 | 3,885 | 153,963 | 153,855 | 108 |
第3種 | 7,217 | 209,161 | 205,778 | 3,383 |
第4種 | 8,095 | 271,333 | 250,727 | 20,606 |
女 子 | 1,314 | 27,798 | 0 | 27,798 |
シニア | 1,547 | 46,866 | 46,811 | 55 |
計 | 26,508 | 834,423 | 782,398 | 52,025 |
(財)日本サッカー協会、基本規定より引用[2023年年度現在]
「第4種」の所に注目すると、全体の約7%以上が女子の登録選手です。
この数字がどう感じますか?多い?少ない?
私には多く感じ、すごい進歩だと思っています!
今後の動向が女子サッカーの発展には不可欠といえるのではないでしょうか?
サッカースタートから小学生まで

女の子がサッカーを始めたいと言われると、「習い事にサッカーって男の子と一緒なので不安では…」と思う保護者も多いと思います。
ですが、結論…全く問題ありません!
子どもの所属しているチームの女の子にサッカーを始めたきっかけを聞きましたが、「お兄ちゃんのサッカーを観に行って興味があった」、「父親の影響からYouTubeでサッカーの試合の動画を観てハマった」など。
導入は男の子となんら変わりません。
むしろそうだからこそ、男の子と区別することなく、一つの習い事として「サッカー」を考えましょう。
ここで、女子がチームにいるメリット・デメリットをいくつか挙げたいと思います。
メリット
男子とのコミュニケーションの機会
男子とのコミュニケーションについては、一定期間が過ぎると少なくなってくるのは当然です。
ただサッカーを通じて同じ目標のために共有することで、男女という関係ではなく、チームメイトとしてまた良きライバルとして関係を深められます。
サッカーは個人技だけでなく、会話や連携によって局面を打開できるスポーツなので、たくさんの成功体験を得られるでしょう。
女子特有の観点がチームにいい影響をもたらしてくれる
チームへの貢献度。
女子選手の貢献度は試合ではもちろん、普段のチーム活動でも『縁の下の力持ち』的な役割を担ってくれ支えてくれます。
パワーだけではない身体の使い方
特に小学生サッカーでは、足が速く、パワーが強い子が試合で活躍することが多い=上手い選手、といわれることが多いですが、女子はこれと異なる特徴が多いです。
試合の中でも、パワーに対してパワーで対抗せず、柔軟性を生かしたプレーや周りプレーの選手と協力することで差を感じることなく対処してします。
視野の広さ。
視野の広さとはプレー面で周りの選手の位置などを把握していることだけではありません。
物事をしっかりと俯瞰で考えているので、試合の感想やプレーの意図を聞くとこちらが勉強になることが多々あります。
デメリット
着替え
着替えについては、チームでの対応が異なるのでしっかりと確認することが必要です。
子どものチームでは女子選手用に着替えのための簡易テントを購入し、練習や練習試合の時は持ち出しています。
その他にも着替えのために更衣室を解放してくれたり、時には女子トイレでの着替えを要求したりするところもあります。
女子の指導者が少ない
女性の指導者に関しては男性の指導者に比べて圧倒的に少なく、選手の割合よりも少ないというデータも出ています。
特に小学生年代のカテゴリーでは目にする機会が少なく出てきて欲しい、と私も思っていました。
その理由として、女子の身体的な悩みや、普段のプレーの悩みなど思春期を迎えると、男性コーチに話すことに抵抗が出てくる子もいると思うからです。
ですが指導者になるためにはサッカーの知識や資格といったものも必要です。
家庭等の理由もあり女性の指導者が増えない現状も理解できます。
一人でも多くの女性指導者がこのカテゴリーで増えることが子どもたちだけではなく保護者も安心する材料になるでしょう。
接触プレーが多くなる
接触プレーについては、低学年のうちではむしろ女子の方が体格もしっかりしていて有利な場合もありますが、高学年になるとそうはいきません。
プレーもフィジカルコンタクトが激しくなるので、女子では苦労する局面が増えていくかもしれません。
こうした現状を加味し、少年サッカーにおいて女子選手については、一つ下の学年での試合に出場することが可能になるケースも認められています。
女子のみの構成のチーム数が少ない
女子選手数 | 男子チーム所属 | 女子チーム所属 | |||
---|---|---|---|---|---|
一般 | 7,005 | 90 | 1% | 6,915 | 99% |
高校生 | 8,388 | 21 | 1% | 8,367 | 99% |
中学生 | 6,585 | 1,328 | 20% | 5,257 | 80% |
小学生 | 14,705 | 9,976 | 68% | 4,729 | 32% |
計 | 36,683 | 11,415 | 31% | 25,268 | 69% |
(財)日本サッカー協会、基本規定より引用[2009年年度時点]
少し古い資料ですが、小学生年代では現在も女子のみの構成のチームは少なく、男子に交じってチームに加入するのが多いです。
こうした背景には、https://benesse.jp/kosodate/202403/20240329-1.html【2024年版】小学生に人気の習い事ランキングにあるように、女子の中でもサッカーが定着しておらず競技人口の少なさも要因となっています。
ですので、女子選手には小学生のうちは男女混合のチームで経験を積みながら、中学、高校では、女子のみの構成のチームでサッカーに宇打ち込む、というのが一般的です。
今後この流れも変わってくれることを期待しましょう!
中学生

中学生になると、サッカーをする環境については大きく二つに分かれます。
クラブチーム
クラブチームとは女子のみで構成され、小学6年生のうちからセレクションを受け、合格することで所属できます。
平日は週に2回ほど学校終わりから夜にかけて練習し、土日は試合や紅白戦、夏や春には合宿も行ったり、青春をサッカーに謳歌できる環境です。
時間によっては送り迎えをしたり、子どもたちでまとまって行動する、など決まり事をしっかりしましょう。
部活動
学校では部活動への加入が義務付けられているので、サッカー部に加入します。
ただクラブチームのように女子だけで構成しているサッカー部はほぼありません。
そのため、小学生の時と同じように男子に交じってサッカーすることになります。
このような状況があり、中学生になってサッカーは続けたいが、諦めて別のスポーツに切り替える子も多いです。
また、2006年3月に行われた日本サッカー協会の理事会で女子選手の大会参加資格が見直された内容を紹介します。
男子の場合クラブチームにチーム所属している選手はサッカー部の試合に出場することは禁止されています。(二重登録になるため)
ですが、女子のクラブチームに所属している選手が中学校サッカー部の部員として、大会に出ることは大丈夫です。
覚えていて損はありません。
高校生

高校生になると中学生とはまた違い、女子サッカーを取り巻く環境は変わっていきます。
クラブチーム
高校生でクラブチームに所属となった場合、大抵WEリーグの下部組織のチームしかなく、そこでしっかりと活躍ができれば男子と同じように高校生のうちからプロの試合に出場する、ということも可能です。
ただ、クラブチームは学校でなく、学校には通うので両立することは困難です。
そのため通信制の学校に通ったり、子どもがサッカーに専念できる環境を作るためにクラブチームの所在地の近く引っ越したりする家庭もあります。
部活動
高校サッカーについては、近年高校のサッカー部に入ることへの人気が急上昇中。
強豪校ともなればセレクションでの加入は当然のこと、私の友人の子どもは関東圏の自宅から東北地方の高校へ全寮制での生活をしながらサッカーをしている、といったケースも多いです。
その理由として、冬にテレビで行っている男子の全国高校サッカー選手権大会とほぼ同じ時期に女子高校サッカー選手権大会があるのをご存知ですか?
深夜にテレビで試合が放送されるとともに、サッカー雑誌でも特集が組まれているぐらい注目されているのでぜひご覧になってください。
男子顔負けの子どもたちの熱は熱く感動もあり、私もすっかりファンになっています!
フットサル
フットサルとは通常のサッカーとは異なり、5対5で行うミニサッカーのことを言います。
女子のフットサルについても「WOMAN‘S F.LEAGUE」として2024年からプロリーグが設立。
その影響から関心も高く、サッカーから、気軽にできるフットサルに競技を変える人も多くなっています。
女子のフットサルについてもプレーの正確性やスピード感は観ていて迫力満点。
フットサルの場合だと、大人になってもママさんバレーのような感覚で近くの小学校の体育館やフットサル場で競技をしている方も多いのでおすすめです!
まとめ

その後のサッカーへの関わり方については、プロ選手としてサッカー・フットサルで生活される方、一旦ここで区切りをつけ残りの人生を楽しむ方…様々です。
正解はどれでもありません。
ただ一つ言えることは、女性というだけで男性には想像できない環境でサッカーしてきた継続的な力は、絶対に今後の人生の成功にプラスになるでしょう。
今後の女子サッカーの環境が更に改善され、競技人口が増えることは、日本サッカーの発展には必要不可欠です。
この記事を読んだ保護者の方が、少しでも理解して頂き、子どもたちにサッカーさせようと決断するきっかけになってくれることを期待しています。
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