久しぶりの運動や急に重いものを持つ家事が発生。
リフレッシュだったり、満足感を得た後に身体に起こる現象…それが筋肉痛!
ただその正体はなぜ起きるのかも、いつまで続くのかも、そしていつの間にかなくなっているのかもわかりません。
今回はそんな筋肉痛について本記事では紹介したいと思います。
筋肉痛とは?
筋肉痛は運動やトレーニングをした結果生じる、筋線維の損傷を修復する過程で生じる筋肉の炎症(痛み)のことを言います。
起こる原因
普段運動していない人が急に運動をしたり、運動をしている人でも普段よりも負荷の高いトレーニングをしたり、普段使わない筋肉を使ったりすることで起こるとされています。
筋肉痛のメカニズムは、医学的には未だにはっきりと解明されていません。
この他にも、インフルエンザやコロナのようなウイルス感染症、熱中症や脱水による体調不良でなるケースもあります。
筋肉痛には種類がある

筋肉痛は生じるタイミングにより以下の2種類に分けられます。
一つは早発性筋肉痛といい、運動した直後、もしくは運動している最中から起こる筋肉痛のことです。
運動を続けた結果、筋肉が酸素欠乏状態に陥ることによって、痛みの原因となる疼痛物質(ブラジキニンやアデノシンなど)が蓄積し、筋肉痛が生じます。
もう一つは遅発性筋肉痛(DOMSとも呼ばれている)とは、運動してから数時間~数日後に起こる筋肉痛のことです。
普段使わない筋肉を突然使ったり、同じ筋肉を使いすぎたりすることで、筋肉を構成している線維(=筋線維)や周りの結合組織に微細な傷がつき、損傷した筋線維を修復するために白血球を中心とした血液成分が集まります。
このとき「炎症」が起き、刺激物質(ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジンなど)が生産され、筋膜(筋肉を包んでいる膜)を刺激することでそれが感覚中枢を介し、痛みとして感じとり筋肉痛を生じます。
一般的な筋肉痛については遅発的筋肉痛、ということです。
なぜ筋肉痛は遅れてくるのか
筋線維そのものには痛みを感じる神経がありません。
痛みは、炎症が広がって発痛物質が筋膜に届くようになってから感じるため、時間差があると考えられています。
あまり使っていない筋肉には、毛細血管が十分に巡らされていません。
そのため、急激にその筋肉を動かしても、損傷した筋線維に血液成分が集まるまで時間がかかり、さらに発痛物質が生産されるまで時間がかかるとも考えられています。
一方普段からよく動かしている筋肉には、筋肉に血液を送る毛細血管がよく発達しているので、少々筋線維を痛めても修復がすぐに進むので、結果的に筋肉痛が起こりにくいということになるのでしょう。
ちなみに、「歳をとると筋肉痛が遅く出る」と言われますが、これも定かではありません。
実際には運動強度に関係しているとも言われており、運動強度が高いトレーニングは比較的早く筋肉痛が出てきて、強度が低く長時間行うような運動は筋肉痛が遅く出てくることになります。
同じ運動をした後の筋肉痛の出方に年齢による時間差は認められなかったとする調査報告もあるとのことです。
筋肉痛になったら筋肉がつくという噂は…?

「筋肉痛がないと筋肉は育たない」と言われたことはありませんか?
筋肉痛は損傷した筋繊維を修復する過程での炎症による痛みであるため、筋肉痛が来ないということは、十分な筋繊維の破壊ができておらず、筋肥大の効果が得られないのでは?と考えられます。
確かに筋の損傷は筋肥大における重要な要素です。
しかし、必ずしも筋肉痛が生じるほどの損傷は必要ではありません。
ただ筋肉を大きくしたいがために痛みを感じる状態で筋トレしてしまうと、筋肉の修復が遅れてしまい、筋トレが逆効果になる可能性が高くなります。
むしろ強すぎる筋肉痛は、その痛みから過度な安静につながったり、痛みを我慢する際に生じる筋肉の強い収縮(防御性収縮)により、関節の動きに制限が生じる場合もあり、身体に悪影響を及ぼす可能性も計り知れません。
また、2011年のKyleらの研究により、筋肉痛がある場合とない場合それぞれにおいて、生じる筋肥大に差は見られなかったと報告されていることからも、筋肉痛が来なければ筋トレの効果がないというわけではないということが証明されているのも現状です。
とは言っても、筋トレをしたあとに筋肉痛が来ないと逆に不安になってしまうのも理解できます。
筋肉痛になっても運動はしていいのか

筋肉痛がある時に筋トレを続けることは逆効果、というのが結論です。
効果を早めるために続けた方がよい、と考える気持ちも十分に理解できます。
ですが、その前に筋肉が作られる仕組みを理解することから考えてみましょう。
筋トレすることで筋肉は、一旦破壊された後に修復を経て新たに再生されます。
その際、以前より強い筋肉に生まれ変わるのです。
この一連の流れを「超回復」といい、超回復には48〜72時間程度必要になります。
超回復の期間は筋トレをした箇所の筋肉痛がおさまる時間とほぼ一致するため、この期間は筋肉痛の部位はしっかり休ませてあげることが大切です。
そのため、痛みを感じる状態で筋トレしてしまうと筋肉の修復が遅れてしまい、筋トレが逆効果です。
また、痛みを伴っている場合は関節の可動域も狭くなっているため、思っている以上に体を動かせないがゆえに筋トレの非効率や、無理に動かそうとすることでケガにもつながります。
もしどうしてもであれば、「軽めの負荷で行うこと」と「筋肉痛がない箇所の筋トレ」というのがポイントです。
筋肉に負荷がかからない程度の低負荷で行うか、今日は上半身、明日は下半身と筋肉痛になっていない部位の筋トレすることを意識して行う、といったことが効率的ですね。
筋肉痛になりやすいパターン
筋肉痛が起きやすいとされる動作は、筋肉が収縮をしながらもゆっくりと引き伸ばされていくような動作です。
逆に起きやすいというよりは、このような運動以外では基本的に筋肉痛は生じないといわれています。
運動や日常生活ではどのような場合が想定されるでしょうか?
運動でいえば、走ったりはもちろんジャンプをしたり、ジムなどでダンベルを持ち上げたりする筋肉を大きくするための運動などが該当します。
日常生活では、階段を上り降りしたり、重たい荷物を持ったり降ろしたり、自転車を漕いだりするなど意外に少なくありません。
ただその回数や強度が普段は少ないからこそ筋肉痛は出づらいですが、予期せぬことで多くなる可能性はあるのでその場合には注意が必要です。
筋肉痛の症状がひどくなると…
筋肉痛が治らないまま、更なる運動や日常生活の行動をし続けると以下のような形で重症化してしまうケースがあります。
その場合は医師の診断を受け、しっかりと対処しましょう。
肉離れ

急に全力で走り出すなど、限界を超えて筋肉が引っ張られた時に、筋肉の一部が断裂し、損傷を起こした状態のことです。
ブチッという切れたような音とともに強い痛みが生じるだけでなく、筋肉の一部が出血し、筋肉の腫れと皮膚の下に紫色のあざが現われます。
ふくらはぎや太ももの裏側の筋肉で起こりやすく、痛みのために歩けなくなります。
私も何度も経験があり本当に厄介。
一度肉離れが起きると、組織の一部に傷あとが残り、再生した部分と周囲の組織とのバランスが悪くなる影響で再発しやすくなるので、注意が必要です。
ぎっくり腰

腰の骨と骨をつなぐ小さな関節が捻挫した状態のことです。
顔を洗おうとした時の中腰の姿勢や、重いものを持ち上げようとして腰を折り曲げた時などに起こり、動けないほどの急激な痛みに襲われます。
もともと腹筋や背筋が弱い人ほど起こりやすく、再発することも少なくありません。
こむら返り

太ももやふくらはぎ、土踏まずの筋肉が引きつり、痙攣(けいれん)を起こし強い痛みが生じる、いわゆる足をつった状態のことをいいます。
疲れていたり、冷たい水に長く浸かるなどで筋肉の血行が悪くなっている時に起こりやすく、ミネラルバランスの崩れによっても起こることもあるようです。
運動との関係では、筋肉の疲労や発汗による脱水が、こむらがえりを起こしやすくすると考えられます。
その他にも糖尿病患者や妊娠中の女性、高齢者が起こりやすいといわれているので注意が必要です。
予防策と対処法
これほど発症しやすくまた重症化のリスクもある筋肉痛にならないためとなった場合の軽減の方法を紹介します。
ストレッチ

予防策にも対処の方法にも有効な一番の方法です。
筋肉痛は、普段使わない筋肉を急に動かしたときに起こりやすくなります。
その特性を理解した上で、運動前に反動をつけながらからだを伸ばす「動的ストレッチ」をし、柔軟性を高めましょう。
おすすめはラジオ体操をすることで血流の流れを事前に改善するのに最適です。
また運動後は反動をつけずにゆっくりと伸ばす「静的ストレッチ」をし、筋肉の緊張を緩めます。
痛みを感じる場合は、筋繊維がダメージを受けている状態なので、しっかりと行うと逆効果になってしまうので力をぬいた状態で行いましょう。
冷やす&温める

トレーニングが原因の筋肉痛は、セルフケアで痛みを緩和できるケースがほとんどです。
痛みがひどい場合は、筋繊維がダメージを受けて炎症を起こしている状態なので、氷のうなどで傷んだ部位をしっかり冷やすのが効果的です。
そして熱が引き、筋肉の状態が落ち着いて来たら(熱感や強い痛みがない場合)今度は患部を温めることに切り替えてください。
心地よいと感じる温度の蒸しタオルで温めるのがおすすめです。
食事

筋肉痛は血流不足と酸素不足で疲労状態かつ、必要な栄養も不足している状態。
そのため早く治し筋肉疲労から回復させるためには、速やかな栄養補給が必要です。
おすすめは、良質で低脂肪のたんぱく質(豆類・魚や鶏肉など)、糖質や脂質の代謝を助けるビタミンB群など(豚肉・玄米など)。
また、疲労回復効果があり抗酸化物質でもあるビタミンC・E、ポリフェノール類(果物・野菜など)は、筋肉疲労や筋力低下の回復を促すことが期待できます。
入浴

筋肉疲労を改善するには血液の巡りを良くすること。
そのための最短ルートです!
全身を温められるので血管も拡張しすることで、血液の循環が活発になります。
そしてリラックス効果もあり副交感神経が優位になり、筋肉痛のみではなく、精神的な疲れも取り除ける、といった効果もあり一石二鳥です。
ただし、お湯の温度が熱すぎると、逆に交感神経が優位になって血管が収縮してしまうので気をつけましょう。
湿布

湿布には貼るとヒヤッと冷たい冷湿布と、温かい温湿布があります。
何気なく使っている湿布ですが、その特徴を知ることで、より効果的な使用方法ができます。
冷湿布は筋肉痛やぎっくり腰・ねんざなど、急性の痛みの緩和に効果的です。
炎症・痛みの抑制を狙った湿布で、抗炎症効果や鎮痛効果などが得られます。
炎症がある・腫れている・熱を持っている時は冷湿布がおすすめです。
温湿布は肩こりや腰痛・神経痛など、慢性的な痛みに効果的です。
血行の改善を狙った湿布で、血液循環の改善および新陳代謝促進をもたらし、関節・筋肉の鎮痛効果が得られます。
患部をお風呂で温めたり、撫でたりさすった場合に気持ちが良い時は、温湿布がおすすめです。
どちらがよいか、については効果が変わらないので個人的な好みが大きな要因になってくるでしょう。
湿布については薬と違って全身に作用しない分、副作用が少ないというメリットがあります。
ですが、不用意に貼るとかぶれたり、喘息を持っている方は発作を起こしたりするリスクがあるので注意が必要です。
マッサージ

マッサージを行なうタイミングは、運動後のクールダウンやアイシングのあと、入浴後がおすすめです。
セルフマッサージの場合は強い力をかけず、患部を指先でさするように優しく揉んだり指圧する程度で行ないます。
痛みが酷い場合や過度な力で行うと逆効果になるので行わないようにしましょう。
また、長時間のマッサージも決して行わないように心がけてください。
我流で行うのは効果が表れにくいのでしっかりと検証して行ってください。
まとめ

『筋肉痛』…この正体は私たちの身体を作るうえでとても重要であるが、決して侮ってはいけないものでした。
ただ、筋肉痛にならないことは日常生活を過ごしていくうえで避けられる問題ではないので、身体の構造を理解ししっかりと予防し、対処することが必要になっていきます。
人生100年時代を1日でも長く健康でいられるように、本記事を参考に過ごしてください!
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